2015年07月05日

オートプシー・イメージング(Autopsy imaging、Ai)

オートプシー・イメージング(Autopsy imaging、Ai)

 今年10月に医療事故調査制度が始まります。『予期しなかった死亡』について、病院・診療所を問わず報告の義務が生じます。死因究明の方法としてのオートプシー・イメージング(Autopsy imaging、Ai)をまとめてみました。
 オートプシー・イメージング(Autopsy imaging、Ai)とは、「Autopsy=検死」、「imaging=画像診断」という造語で、画像診断によって死因を検証するというもの。略語として「Ai」と称される。コンピュータ断層撮影(CT)や核磁気共鳴画像法(MRI)などによって撮影された死後画像(Postmortem Imaging = PMI)により、死体にどのような器質病変を生じているのかを診断することによって、死亡時の病態把握、死因の究明などを行うシステムである。
 特にERなどでは、以前から死因が体表からではわからない症例に対して、正確な死亡診断書・死体検案書を作成するためにAiを活用するようになっている。救急搬送される症例には、自宅での服毒自殺や幼児虐待などの外因死の可能性がある症例が含まれる。体表の情報からこれらを判断するには限界があるが、Aiを取り入れることにより正確な判断が可能になり、外因死などが疑われる場合には、所轄の警察署へ検視依頼を行っている。
 今の日本においては極く少数の例にしか適用されていない「死亡時医学検索」がシステムとして確立されれば、医療の質を高める上で大いに寄与するものとなる。
 また、2005年時点での日本国内のCT普及率は人口100万人あたり92.6台、MRIは35.3台と国際的な平均値の6 - 7倍と格段に多い数値(OECD調べ)であり、日本国内の環境そのものは十二分に整備されている。

Aiを理解するための7×7のステップ 医師・作家 海堂尊 先生
『現在の日本社会の宿痾のひとつ、「死因不明社会」という病は、現存の解剖制度を土台とした死因究明制度の下で発症している。したがってその病因は解剖制度そのものに内在しており、従来の解剖制度のマイナーチェンジや多少の充実では、根治しない。 医療が死因不明社会を治療するための新薬の処方箋、それが「Aiの社会導入」である。』
http://plaza.umin.ac.jp/~ai-ai/reading/proposal/proposal_91.php

「できることから始めました。−市中病院の試行錯誤の3年間−」千曲中央病院 宮林 千春先生
『救急Aiについては、多くの施設でされているとおり、救急医療の延長でAiが施行され、死に至った病態、原因を遺族に告げられることが多い。その費用を誰が負担するか。救急医療の延長であることを理由に保険請求をしている施設もあれば、院長の一声で持ち出しにしている施設もある。救急医が現場で苦悩するAiの費用負担を保険請求することが社会問題になるのであれば、それはそれで正面から費用負担に関する議論をする絶好の機会である。』
http://plaza.umin.ac.jp/~ai-ai/reading/proposal/proposal_92.php
           
posted by かさまつまさのり at 06:14| 日記